イライラとうつ病

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厚生労働省の報告によると、日本人の5人に1人はうつ病にかかっているとされています。また、一生のうちにうつ病を経験する人は5人に1人、さらに忙しいサラリーマンの2人に1人は抑うつ状態を経験するともいわれています。 ストレス社会と揶揄される現代においては、このように、いつ、誰がうつ病になってもおかしくはありません。決して対岸の火事ではないのです。

後にも述べますが、イライラがうつ病の症状として出る場合がありますので、注意が必要です。自分自身はもちろん、家族や友人、部下や同僚などにその兆候がないか、いち早く気づいて症状を進行させないためにも、ここからいうつ開に ついて少し詳しくみていきたいと思います。
うつ病というと、皆さんはどういった症状を思い浮かべるでしょうか。講演会などでこの質問をすると、最も多く挙げられるのが「気分が落ち込む」という答えです。
もちろん、この抑うつ気分は、うつ病の代表的症状です。しかし、うつ病の症状はこれだけではありません。そもそも、「気分が落ち込む」ことは、誰にでもあることです。

では、正常範囲の抑うつ気分とうつ病はどう違うのでしょうか。まず正常範囲 内の抑うつ気分は、2週間未満であることがほとんどです。嫌なことがあったりしていったんは気分が落ち込んでも、普通は時間とともに自然に回復するものです。
それに対してうつ病に伴う抑うつ感は、2週間以上持続します。この2週間以上持続する抑うつ気分というのは、うつ病の診断基準のひとつにもなっています。

また、うつ病の場合には、抑うつ気分だけでなく、さまざまな症状が心身の両面で現れます。
以下、典型的なうつ病の症状を具体的にみていきます。なお、ここで敢えて「典型的な」という言い方をしているのは、「非定型うつ病」や「ディスティミア親和型うつ病」などでは、一部の症状が真逆になったりすることがあるからです。

1. 抑うつ気分
前述の通り、2週間以上持続する抑うつ気分です。通常、2週間の間には休みが入ったりしてリフレッシュできるわけですが、休みを取っても抑うつ気分が変わらない、という場合には注意が必要です。

2. 睡眠障害
不眠は、典型的なうつ病の場合ほぼ必発の症状です。睡眠障害は、入眠障害(寝つきが悪い)、中途覚醒(途中で目が覚めてしまう)、早朝覚醒(朝早くに目が覚めてしまう)、熟眠障害(眠った気がしない)にわけられますが、うつ病の初期には早朝覚醒が出現し、次第にその他の睡眠障害の症状に進展すると考えら れています。

3. 食欲不振
「何を食べても美味しく感じない、何かを食べたいという気持ちが湧かない、吐き気がして食べものが喉を通らない、など程度はまちまちですが、この食欲不振もほぼ必発といってよい症状です。

4. 興味の喪失
何をやっても面白く感じられない、といった症状です。普通は、嫌な仕事はや りたくなくても、自分の好きなことには積極的に取り組めるものです。ところがうつ病の場合には、仕事に対してはもちろん、自分の好きな趣味などに対しても3 興味が湧かなくなってしまうのが特徴です。
例えば、ゴルフが三度の食事よりも好きで、週末には必ずゴルフ場通いだった 夫が、あるときパタッとゴルフをしなくなった、ということから妻が夫のうつ病に気づいた、ということもあります。

5. 性欲減退
加齢の問題もあるので一概にはいえませんが、いわゆる働き盛りの年齢にもか かわらず性欲が湧かない、といった場合には注意が必要です。これも配偶者やパートナーが気づき得る症状です。

6. 思考制止・判断力の低下
初めは自分でも気づかないうちに次第に集中力や判断力が低下してきます。さらに、思考が堂々巡りしてしまったり、健康なときには普通に考えが浮かんで、ものごとをきちんと処理できていたのに、それが思うようにできなくなる、思考 抑制・思考制止という症状もみられるようになります。仕事の効率も落ちることから、残業が多くなるなど悪循環に陥るばかりでなく、 重大なミスや事故に繋がることがあります。

7. 感情の制御困難
些細なことでイライラや怒りなどの感情が湧いてそれが長く続いたり、ちょっ としたことで悲しくなって涙が出たりするなど、感情を制御する力が弱まります。
この本の主題でもあるイライラや怒りの感情は、特に対人関係のトラブルに発 展しやすく、職場や家庭で孤立してくると、さらにそのことが本人の絶望感に繋がる、といった悪循環が生じやすくなってしまいます。 一方で、イライラする原因はそれなりに思い当たることがあるため、それがうつ病の症状であることにはなかなか気づきにくいものです。最近ちょっとイライラがひどいな、と感じたら、ここに挙げたうつ病のほかの症状がないかどうか、 意識するようにしてください。

8. 自責・希死念慮
自分の周りに起こる良くないできごとや結果を、過剰なまでに自分の責任であると捉えてしまったり、根拠もなく「自分は価値のない人間だ」などと考えてしまったりします。それが高じると希死念慮(死にたいという気持ち)になります。
このような場合には、躊躇せずに専門家に相談してください。軽症のうつ病でも、約5%は希死念慮を持っている、という見解もあり注意が必要です。

9. 身体的な諸症状
頭痛、肩こり、のぼせ、喉の渇き、動悸、息切れ、立ちくらみ、胃の痛み、腰
痛など、さまざまな身体的な症状を呈することもあります。そのため内科や整形 外科、あるいは接骨院や鍼灸院、マッサージ院などを最初に受診するケースが多く、精神科や心療内科受診までの期間が長くなることで、うつ病の治療開始が遅くなる場合があります。

10. 1日のうちで調子が変わる
1日のうちで調子が変わる、日内変動がみられるのも、うつ病の特徴の1つで す。朝起きたときが最も調子が悪く、これまでみてきたような症状を強く感じるものの、午後から少しずつ改善し、夕方から夜にかけて調子がよくなる、という のが典型的なパターンです。
ここで気をつけたいのは、調子がよくなる時間があることで、自分や周りの人 が気づきにくい、という点です。また、午前中、思うように進まなかった仕事を 取り戻そうとして、調子がよくなってきた夕方から夜にかけて無理をしすぎてしまったり、遅くまで接待や付き合いでの飲酒をしてしまうこともあります。
すると翌日はさらに調子が悪くなるという悪循環に、知らず知らずのうちに 陥ってしまいます。余談ですが、飲酒をすることでよく眠れると思っている方が いらっしゃいますが、これは誤解です。
確かに、飲酒により寝つきがよくなる場合はありますが、アルコールが分解さ れる過程で生成されるアセトアルデヒドは、交感神経を刺激する作用があるため、中途覚醒や熟眠障害の原因となり、睡眠の質は明らかに低下します。

 

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