
ヴィパッサナー瞑想は、別名「気づきの瞑想」ともいわれ、以下の3つの基本原則から成り立ちます。
厳密には異なるマインドフルネスとヴィパッサナー瞑想、気づきの瞑想を、その根幹理念の共通性からほぼ同義として扱っています。
②スローモーション
③身体感覚の変化を感じる
1つ目の「実況中継」とは、今自分が行っていることや感じていることを、なるべく簡単な言葉で実況生中継することです。
まずは動作に対して実況中継を行い、慣れてきたら感覚や感情に対しても実況中継をするようにします。そのときに、あたかもアナウンサーが実況中継するよ
うになるべく客観的に行うようにすることがポイントです。
例えば、右手をゆっくり上げているとします。その動作を実況中継する際には、「上げています、上げています......」とするよりも、「上がっています、上がって います......」という具合に、なるべく客観的な言葉を用いるようにします。「私が○○している」というように、一人称の主語に続く言葉はなるべく使わないようにします。
もう1つのポイントは、絶え間なく行う、ということです。これは余分な思考や感情が入り込むことを阻止することに繋がります。ヴィパッサナー瞑想では、気づきを得て、それを心の中の言葉として確認していくことをラベリングといいますが、実況中継もラベリングのひとつです。また実況中継は、この後の2つ目、 3つ目の原則と同時に行うことも多く、そうすることで相乗効果が得られます。
さて、2つ目の原則は「スローモーション」です。これは文字通り動作をゆっくりとスローモーションで行うことですが、ではどれくらいゆっくりかといえば、
もうこれ以上はやっていられない、と感じるくらいスローで行います。
当然人によって違いが出てきますが、例えば、先ほどの手を上げる動作をスローモーションでやってみる場合、おおよそ1~2分らいを目安にするとよいでしょう。
実際にやってみるとわかりますが、この「スローモーション」は、私たちの意識を強力に「今」の瞬間に集中させることができる技法です。
大事なのは、このゆっくりとした動きを、先の実況中継と同時進行で行ってみることです。こうすることで相乗効果が得られ、余分な思考がピタッと止まるの が実感できます。
最後の3つ目は、「身体感覚の変化を感じる」です。私たちは普段、何か特別なことがない限り身体感覚に意識を向けることはあまりありません。しかし本来、 あらゆる動作にはそれに伴う身体感覚があるはずですし、それは時々刻々と変化しているものです。それに意識を向けるのが3つ目の原則です。 手を上げる場合にも、例えば筋肉や皮膚の緊張や発汗などの身体感覚がさまざまな部位で感じられますが、手を上げ続けながらこうした感覚をよくよく観察してみると、それらが時々刻々と変化していることに気づくはずです。
その際、「三角筋が収縮しているな」とか「疲れてきた」といった余分な思考や感情をはさみ込まずに、ただ身体感覚の変化に意識を向け続けます。慣れてく れば、思考や感情さえも気づきの瞑想の対象にすることは可能ですが、始めはなるべくシンプルにやることをおすすめします。
「身体感覚の変化を感じる」ために

気づきの瞑想の3原則である「実況中継」と「スローモーション」はわかるけれども、「身体感覚の変化を感じる」ということがよくわからない、という質問をされることがあります。 この3つ目の原則は、マインドフルネスの醍醐味であると同時に、皆さんがつまずきやすいところでもあります。
もし皆さんが、やはり身体感覚がわかりにくい、と感じるならば、次の方法を試してください。まず、両手を合わせて10秒ほど素早く擦ります。すぐさま両手 を、いわゆる丹田に当てます。
丹田は古来よく「臍下(へそした)三寸の位置にある」といわれ、武術をやるうえではとても重視される部分ですが、おおまかに臍下の下腹部として差し支えありません。 摩擦熱で暖かくなった手のひらから、じわーっと熱感が感じられますので、その感覚に意識を向けます。
丹田については後ほど丹田呼吸の項目で詳しくみていきますが、いずれにしても、身体感覚の変化を感じることは、頭であれこれ考えていてもできるようにならない類のものですので、毎日少しずつ実行することが大切です。
さて、ヴィパッサナー瞑想は、これらの3原則を用いて「立つ瞑想」「歩く瞑想」「座る瞑想」などで練習するわけですが、それ以外にも日常生活のあらゆる動作・場面を通して実践できるのが特徴です。 「例えば食事をしながら、掃除をしながら、洗い物をしながら、など日常生活の至る所に気づきを得るための材料があると考え実践するわけです。次回は、そのための基礎となる呼吸に意識を向ける瞑想をご紹介します。
イライラを解消!呼吸に意識を向ける瞑想