運動で脳を鍛えてイライラを予防する !

更新日:


 
皆さんは定期的な運動の習慣をお持ちでしょうか。今や国民の8割は運動不足の状態だといわれていますが、昔の人たちに比べて現代人は、日常生活の中で体を動かすことが圧倒的に少なくなりました。
文明の発達に伴って、私たちは利便性を手に入れましたが、それと引き替えに大事な生活習慣を失ってしまったのかも知れません。今や私たちは、意識的に運動をする機会を作らない限り、必然的に運動不足になってしまうような時代を生きているといえましょう。
 
さて、運動が体の健康を維持するうえで大切であることは、もはや議論の余地はないでしょう。高血圧症や糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病で、主治医から運動をすすめられている読者もいらっしゃるかも知れません。
一方で、運動が私たちのメンタルヘルスにも大きく関わっていることをご存知の方はまだまだ少ないように思います。ここからは運動がもたらす精神的な効果についてみていきながら、イライラや怒りの対応策・予防策として運動を日常生活に取り入れるコツをお伝えします。 運動の心理面での効能としては、一般的には「気分転換」「忍耐力や粘り強さを育むこと」などのほか、運動に伴う達成感が自己効力感を向上させることが挙げられていますが、こうしたことは自分自身の経験に照らし合わせて考えても納得しやすいかと思います。
 
まずは、運動の効果を生物学的な仕組みから明らかにしようとする研究を紹介します。その主なメカニズムとしては、すでに述べた以下の3つとの関連が考えられています。 1つ目は、「モノアミン」の変化に関連したものです。これは主として動物実験の結果であり、実際の患者を対象とした臨床研究ではありませんが、運動に よってノルアドレナリンおよびセロトニンの活性が上昇するという報告があり、 これらがうつ状態など心理面の改善に繋がっているであろうと推測されています。
 
2つ目は、視床下部―下垂体―副腎皮質系(HPA系)に関するものです。 運動は、ストレス抵抗性を増大させることで、HPA系の反応が過剰になるのを抑えると考えられています。 3つ目は、「脳由来神経栄養因子(BDNF)」との関連です。運動によって脳内のBDNFが上昇することは数多く報告されています。これがうつ病などに対して治療的な意味を持つと考えられています。
 
 

ながら運動・ついで運動のすすめ

さて、ひとくちに運動といっても、運動強度が高い無酸素運動、中等度の有酸 素運動、あるいはストレッチなど、種類はさまざまです。うつ病を患っている方に対して、どのような運動をどれくらい行えば効果が るのかを検証した論文があります。抗うつ薬を服用していないうつ病患者8例を対象にした研究で、1週間トータ ルの運動量が「中等度」の運動を週3回にわけて行ったグループ(1群)、週5 回にわけて行ったグループ(2群)、1週間トータルの運動量が「軽度」の運動を週3回にわけて行ったグループ (3群)、週5回にわけて行ったグループ(4 群)、「ストレッチのみ」を週3回行ったグループ (5群)では、1、2群が最も うつ病の改善率が高かった、と報告されています。つまり、運動の強度としては有酸素運動のような中等度の運動がよく、トータルの運動量が同じであれば、頻度は週3回でも週5回でも差がない、ということになります。
また、120人の高齢者を、週3回の有酸素運動(ウォーキング)と、スト レッチ群(対照群)とに、無作為に振りわけて1年間経過を観察したところ、前者は海馬体積が2%増加したのに対し、後者では1・4%減少し、さらに空間記 憶課題の成績も前者の方がよくなったという報告があります。
 
このように有酸素運動がよいことはわかったとして、では最適な運動強度はどのようにして決めるのがよいのでしょうか。さまざまな方法がありますが、 私はフィリップ・マフェトンが提唱する180公式に基づいた方法を推奨しています。
まず、「180-自分の年齢」を計算します。そこで得られた答えから、さらに10を引きます。例えば30歳の人ならば、180-50=130、130-10=120となりますが、心拍数が1分間に120から130の範囲内になるように 運動を行うようにすると、それが30歳の人にとっての最適な有酸素運動強度になる、というものです。 これを正確に行う場合には、「ハートレートモニター(心拍計)」という機器が便利です。先ほどの例でいえば、上限を130、下限を120として機器に設定すると、それらを上回ったり下回ったりした際にはアラームが知らせてくれる仕組みです。ようするに、アラームが鳴っていなければ最適な有酸素運動になっているというわけです。ハートレートモニターは、スポーツ用品店やネット通販で簡単に入手できます。
さて、そうはいってもこうした有酸素運動を行うまとまった時間を確保できない方もいらっしゃることでしょう。そんな忙しい現代人におすすめの方法がこれから紹介する「ついで運動」「ながら運動」です。
 
これは、例えばトイレにいった「ついでに」腕立て伏せを30回やるとか、歯みがきをし「ながら」スクワットを行う、という具合に、細切れの時間を活用してトータルの運動量を確保する方法です。
スクワットを行う際には、膝の位置がつま先よりも前に出ないようにすると、 膝を痛めることなく実施できます。実際の臨床研究でも、このように手軽に行える筋力トレーニング(腕立て伏せ・腹筋・スクワット)により、統合失調症患者 の抑うつ気分が改善したという報告もあるので、有酸素運動を行うまとまった時間を確保できない方は、「ついで運動」「ながら運動」をぜひ活用してみてください。
さらに、5~10分程度のストレッチをするだけで、寝つきがよくなるということを明らかにした研究もあります。良質な睡眠を確保することはイライラ対策の基本ですので、まったく運動できなかった日には風呂上がりのストレッチをおすすめします。
 

Copyright© イライラ解消|サポート.com , 2026 All Rights Reserved.