「またか!」で入るスイッチ
「ほら! よそ見して飲んだらこぼれるでしょ」「鉛筆持って走らないで!」「帰ったら手洗い、うがいっていつも言ってるでしょ!」
1度目は普通に教えられるのに、2度目には注意、3度目には叱って、4度目には 怒って、それでもまた繰り返すと怒鳴って......。
そして、昨日も言ったのにまた今日も。毎日言ってるのにまた......と、理由も背景も関係なく、瞬間的に入る「またか!」のスイッチ。
「何回も言わせて!」と思えば思うほど、イライラがふくらむ......。
お母さん達が子どもに対してイライラしたときのことを話す際、口々に言われるのが、この「またか!と思って......」というもの。 四六時中一緒にいるからこそ、強い感情となって表れてしまうことはあるものです。
ひとつひとつの子どもの仕業は、母親になる前に思っていたように「そんなことでそこまでイライラしなくても......」というようなことがほとんどですが、お母さんにとっては「その仕業」の意味は違います。
なぜなら、そこには「前にも教えたのに」「いつも言ってるんだから予測できたはず」「これだけ言ってるんだから覚えたらどうなの」「前にもやってるんだから、こうなるってわかってたじゃない」といった様々な感情がプラスされての「事実」だから。
イライラは繰り返すことで大きくなります。
朝起きなかったら、淡々と起こすだけ
「何度言えばわかるの」「これから先もずっと言い続けるのか......」とゲンナリしてしまうのは、よくわかります。
でも、そこで強くイライラしてもあまり効果がないということは、頭ではわかっているんですよね。 「イライラを感じる瞬間、反射的に口癖となった言葉を発する、とりあえず思いつきで感情を表す......など、わたし達はあまり脳を使わないようです。 自分のパターンを繰り返すほうが簡単だからです。
ここで、改めて感情的にイライラすることのメリットとデメリットを考えてみましょう(図 1)。なんだか、デメリットのほうが多い気がしませんか?
図1:感情的にイライラすることのメリットとデメリット
メリット
・お母さんの真剣度が伝わる
・子どもに焦りと危機感を持たせる
デメリット
・子どもに怖がられる
・子どもがイライラされ慣れる
・お母さんの体に悪い(心臓、血圧、美容)
・お母さん自身が疲れてしまう
ここでもし「またか!」という感情を抜きにしたら、どうなるでしょう? 「今朝もまた起きない!」「何度起こせば起きるつもり?」「遅刻しても平気なわけ?」 と、お弁当を作りながら、何度もベッドに足を運びながらイライラを募らせるより、「自分の役割は、子どもを起こして、決まった時間に行かせること」と割り切ってしまうのも、ときには必要かもしれません。
イライラの感情をのせずに、ただ起きるまで起こす。嫌味もなく、放置もなく、ただ起こすのです。 イライラして接したら、子どもが早く自分で起きられるようになるわけでもありません。 強くイライラしなかったことによって、大人になっても自分で起きられない人になってしまうわけでもありません。
今までの繰り返し(過去)を思ってガッカリしたり、「これからもずっと......?」 (未来)と不安に思ったりするのはよくわかるのですが、「今」を見るようにすることで、 イライラを少し減らしてみましょう。
「今」にだけ目を向ける
わたし達はイライラしているとき、目の前の問題に加えて「過去の不満」「未来への不安」 をのせて問題をふくらませていることがあります。
また、自分のイライラの根源を取り違えていることも、ままあります。 たとえば、なかなかひとりで着替えをしない子どもに対して、お母さんはいろいろな思いを抱きます。「毎日手伝うのが面倒くさい」「もう散々教えてきたのに、なんだったの」「このまま だと、この子、入学してから大丈夫かしら」「自分で服くらい着られないと、わたしがダメな親だと思われそう」......。
本来は、今着替えをしてくれたら、それで解決なのですが、いつのまにか「着替えること」以上に、不満や不安を大きくしてしまっていることがあるのです。
子どもに対してイライラするとき、「今自分は何に対してイライラしているのか」をお母さん自身が理解していることが何より大切です。 「今まで、教えてきたのに、子どもがやろうしないこと」にイライラしているのか、「これから、もできなかったら......」と不安なのか、あるいは、まったく別の理由で「自分がダメな親に思えること」に苛立っているということもあります。
そこがわかっていないと、子どもに何を言っても、なかなか自分の苛立ちは解消されません。子どもも怒られている基準がわからないので、ゴールに辿り着けなくなってしまいます。
自分が変えたいと思っていることを自分で取り違えないよう、まずは自分のイライラの根源を見極めましょう。
子どもが「○○しない」という事実に、自分の妄想や他の理想をくっつけて、イライラする理由を増やさないようにできるといいですね。
どもが毎日楽しそうに見えるのは、大人ほど過去を引きずらないことと、未来を不安に思ったりしていないから。
イライラしたり不安になる気持ちはわかりますが、ほんの少しだけ過去や未来への意識を小さくして、今目の前にいる子どもとの時間を楽しんでみると、必要以上に感情的にならずに済みます。