「親のわたしが恥ずかしい」「わたしばかり大変」...
朝、登園直前になって、子どもが「行くのやだ~」「もっと遊んでいたい!」とグズり、「何言ってるの! 早くしなさい!」とお母さんが感情的にイライラして急かしているのは、よくある光景。
このとき、子どもが自分をイライラさせているように感じていませんか?
実は、それだけではないのです。そのイライラの裏には、「時間を守れないお母さんと思われたら恥ずかしい!」「仕事に遅れたら困る!」「なんでわたしばかり時間に追われなきゃいけないの!」といった、いろいろな感情が渦巻いています。
「第一次感情」という言葉を聞いたことがありますか?
第一次感情とは、不安、悲しい、つらい、苦しいなどのネガティブな感情です。 イライラは「第二次感情」と言われ、第一次感情を元にして生まれます。
「出来事」→(即!) 「イライラ」というわけではないのです。
たとえば、こんなとき、どんなことを思いますか?
●「パパが家事育児を手伝ってくれない」とき →わたしにばっかり押し付けてひどい。自分だけ自由な時間があって羨ましい。どうしてわたしの大変さに気づかないのかと悲しくなる。
目の前の出来事の大きさ以上に、自分が感じるイライラの裏には、様々な自分の第一次感情が存在しています。 口酸っぱく言ってるのに、いつまでたってもできるようにならない子どもへの「苛 立ち」「焦り」「心配」、イライラしてばかりいる自分への「自己嫌悪」、自分の育児への「自信のなさ」「不安」、思い通りにいかない環境への「不満」「ストレス」などが渦巻いているのです。
イライラをコントロールするのが難しいと思ったら、イライラを小手先でどうにかしようとするのではなく、まず自分の心にある第一次感情をのぞいてみましょう。
目の前のイライラの対象は単なる引き金に過ぎないことが、いかに多いかに気づくはずです。
イライラの裏にある「第一次感情」
わたし達の心のなかには、感情を溜めるコップがあります。
感情には、楽しい、嬉しい、幸せ、心地いい、愛おしい、など「ポジティブ」なも のと、イライラにつながるような不安、不満、寂しい、悲しいといった「ネガティブ」なものがあります。
ポジティブな感情は、意外と心に長くとどまってくれませんが、ネガティブなものは心のコップにしっとりしっとりと溜まっていって、そしてなかなか消せないもの。
つらい、悲しい、苦しい、不安......といったネガティブな感情は、なかなかコップから吐き出すことができず、どんどんと溜まっていきます。
人に言われた言葉でも、褒められた・感謝されたということより、ひどいこと・悔しいことを言われたときや傷つけられた言葉のほうが、いつもまでも残ってしまい、忘れられないものですよね?
このようにネガティブな感情は残りやすく、このネガティブ感情で心のコップがいっぱいになると、多少のことでも感情があふれ、イライラとして爆発しやすくなります。
イライラは溜まってドカンとなるもの
1日過ごしているだけでも、ネガティブ感情は心のコップに溜まっていきます。
爽やかに目覚めた朝、子ども達が起きる前に洗濯機をスタートし、朝のコーヒーを飲みながら、子どもの笑顔を思い浮かべてお弁当と朝ごはんを作る。用意ができたので、「さて。そろそろ起こさなくちゃ」。
そこからは、さっきまでの爽やかな朝はどこへやら。
「起こしても起きない!」 声をかけてもダメ。揺すってもダメ。何度起こしても寝ぼけて起き上がってこない。 やっと起きてきたと思ったら、歯を磨いて、顔を洗って、と毎日同じことをするはずなのに、ひとつずつ言わなければやらない!(イライラ)。
「ごはん早く食べなさい!」
言葉をかけて、自分の着替えとメイクをしている間、気づけば子どもは、まだごはんを食べずに遊んでいる! 「ほら、ごはん!」
洗濯物を干して戻ってきたら、着替えもせずにまた遊んでいる!(イライラ爆発!)。
「何やってるの!早く着替えなさい!!」
時間ギリギリに園にとどけ、やっとほっとひと息。 まだ少しイライラが残っている......。
毎日毎日言っているのに、自分でさっさとやらない子ども。そのことに苛立ったり時間に追われて焦ったり......。
こんな小さな「イラッ」がどんどん心のコップに溜まって、しだいに「イライラ」があふれていきます。
夕方以降は魔の時間
夕方の帰宅後は、こちらが何を言っても、聞いているのかいないのか、自分の世界......。
「急いでごはん作るね!」「その間に、これとあれしておくのよ」
言っても、まったく動く様子が見られない。しかも、ごはんもグズグズ。
「ほらこぼれてる!」「座って食べなさい!」「手を使わないで!」......。
コップの水があふれんばかりとなる夕方・夜には、イライラがどんどん大きくなって、小さなことでも怒りたくなってしまいます。
1日の疲れも相まって、自分の思うペースでことが進まないと、子どもがたいして悪くなくても、つい「ドッカーン!」。
「もうお風呂に入る時間!」「早く寝ないと明日もまた朝起きられない でしょ!」「何 回言わせるの!いいかげんにして!」などと怒鳴ってしまい、あとで後悔。
心に余裕のあるときだったら、ゆっくり聞いてあげられるようなたわいもない話でも、聞く精神状態には到底なれない......。
このように心のコップに「疲れた」、時間に追われる「焦り」などの感情が溜まっていくと、ささいなことでもイライラしやすくなってしまいます。
これは、1日中子どもにつきっきりで遊んでいるときにもよくあること。最初は子どもが騒いでいても笑って流せていたのが、長い時間となると、だんだんイライラや 疲れが蓄積されて、夕方や夜になる頃には、小さなことで怒ってしまうのです。
疲れているときは、イライラをもっとも引き起こしやすいときです。「疲れ」や「焦り」「ストレス」など、心にネガティブな感情が溜まっていくと、本来 怒らないようなことにまで苛立ちを感じたり、出来事を拡大解釈して、より一層強くイライラしてしまったり、「なんでわたしばっかり大変な思いをするの......」と被害者意識が芽生えて、さらなるネガティブ感情を引き起こしてしまいます。
意識的に忘れる、思い出さないように
ネガティブ感情が心に溜まると、それはイライラとなってあらゆる方向に向けられます。
まずイライラの矛先が向きやすいのは、小さくて無抵抗な子どもです。
ときには、子どもに対してイライラしているのに、イライラしすぎている自分にも向かうこともあります。激しい 自己嫌悪や 罪悪感、といったものです。
あるいは、それをただ横で見ているパパにも向かうかもしれません。
洗いものや洗濯など手伝ってくれて助かる面はあるものの、何でも中途半端でイライラ...。
逆に、パパに向けられたイライラを子どもに八つあたりしてしまうこともあるでしょう。
こんなふうにイライラの裏にはいろいろな感情が混ざりあっていて、それはきちんと発 端となるものに向かうとは限りません。 そのぶん意図的に、ネガティブ感情を溜めないようにする必要があります。 イライラしたことを必要以上に何度も思い出さない、意識的に忘れる、許す、ということ。 そして、自分への不満・ダメ出しを減らすために、しっかりしなきゃ、完璧を目指さ なきゃと、頑張りすぎないことも大切です。 「心のコップがネガティブな気持ちでいっぱいにならないように、体調管理と同じくらい、心のメンテナンスも心がけましょう。