
他のママ達もきっと家ではイライラしている
子どもの園や学校で。あるいは児童館や街中で。外で会うお母さん達は、子どもの前ではいつもニコニコしてやさしいお母さんに見える。
落ち着いていて、冷静そう。きっと怒鳴ったり、自分のイライラを子どもにぶつけたりなんてないんだろう。あんなお母さんなら子どもも幸せなんだろうなぁ......。
それに比べてわたしは、子どもをうまくしつけられもせず怒ってイライラしてばかり。自分へのふがいなさでいっぱいになる。いつもやさしいお母さんでいたいのに......。
そんなふうに、他のお母さんがとても立派に見える。隣の芝が青く見え、劣等感にさいなまれているお母さんも多いと思います。
けれども、ハッキリ言いましょう。決してそんなことはありません! みな外ではそう見えるだけ。家のなかではつい感情的になることだってあるはず! ただ口に出してわざわざ「わたしはよく怒ります」「イライラします」とは言わないから、実際はどうなのか外からはわからないのです。
あるお母さんが、子どものクラスのママ会に参加したときのこと。話の流れのなかで、「みんな全然怒らないように見えるよね!」と、まさしくそんな発言を誰かがしたそうです。
すると、あちこちから「そんなことないよ!」「いっつもイライラしてばかり」「わたしは相当ヒステリックだよ~」「子どもに怖がられてる」という声が上がったとか。「他のお母さんはみんな、きっと怒ったりしないんだろうなと思っていたから、聞いて安心した」という声も多かったそうです。
ある調査結果によると、3分の2の親が平均して週に5回、子どもを怒鳴りつけるほど強いイライラを感じている、そして10%の親がこれから先、子どもを傷つけてしまうのではないかと心配していると言います。 外では抑えられるイライラ・怒りも、家のなかではとめられないというのは、みんな同じです。

遺伝子レベルで刻み込まれた防衛感情
「イライラ」はあって当たり前の感情。感じて自然です。誰しもがイライラします。
やさしそうなあのお母さんも、家ではきっとイライラしています(笑)。子どもにいつでもやさしく冷静にいられる人なんて、めったにいません。
ましてや、ままならない子育てで、「子どもってそんなもの」と達観できるときばかりではないのは当たり前。
喜怒哀楽とも言うように、「イライラ」は人間が普通に持っている感情です。
けれども、「喜」や「楽」など他の感情と比べ、好ましくないもの、できればないほうがいい感情と思われがちです。
そのため、イライラを感じるのは悪いこと、恥ずかしいこと、人として未熟、心が狭い......などと思ってしまうのです。 けれど、決してそんなことはなく、とても大切な感情です。
イライラの感情は、生まれたときからわたし達誰しもに備わっていて、危険・不快から 遠ざかり、身を守ろうとするサインでもあります。「防衛感情」とも言われ、自分が安心していられる空間・時間が脅かされたとき、守りたいものが守れないときに感じる「自分の身を守るためにある感情」です。
動物が自分の縄張りを侵されたときや、子どもが敵に狙われたときにイライラや怒りをあらわにするのと同じこと。
わたし達人間にとっては、生命の危機や縄張りが荒らされることこそありませんが、 それでも自分の安心・安全が脅かされるときにはイライラ・怒りを感じます。 たとえばプライドが傷つけられた、心が傷つけられた、居心地のいい時間を奪われに必死に抵抗しなくてはいけないときなどです。
自分だけがイライラしやすいとか、周りの人はいつもにこやかにしてる、などと考える必要はありません。感じるポイントやタイミングこそ違っても、みんな一緒です。
むしろ、イライラを感じやすい自分は「安心・安全を守る意識が高いんだ」と思ってください。
お子さんが怒りっぽいと感じたときも同じ。この子は「生きる力が強いんだ」と思ってください。
そう考えると、イライラすることがそんなに悪いものではないように思えませんか?